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Posted on Jul 20, 2023Read on Mirror.xyz

アカウント抽象化とWeb3ソーシャルについて

先日、「サイバーコネクトV3」が発表され、その目玉の機能の一つとしてAccount Abstractionの実装が織り込まれていました。Account Abstractionというのは、ERC-4337という規格で定義されていて、日本語でいうとアカウント抽象化と訳すようです。

サイバーコネクトV3の発表を読んで、あ、アカウント抽象化はWeb3ソーシャルに必須かもしれないなと感じました。

というわけで、この記事では

  • Web3ソーシャルの最大の課題

  • アカウント抽象化がその課題をどのように解決するのか

ということについて書いていきたいと思います。

自分は技術的なことに詳しいわけではなく、正確性に欠ける部分もあるかと思いますので、本記事の内容についてはDYOR、NFAで取り扱っていただくようお願いいたします。

Web3ソーシャルの最大の課題

Web3ソーシャルというのが何で必要だと言われているのかというと、Web2ソーシャルでは、ユーザーのアカウントというのはぱっと見ではユーザーのもののように感じますが、実は運営会社がその権利を握っていて、ユーザーの思うままに扱うというのができないのです。不当にbanされたり、ユーザーの利益を運営会社がピンハネしたりということはよく耳にしますね。

そこでWeb3ソーシャルは、運営会社からユーザーにアカウントを返還し、本来ユーザーが受け取るべき利益をちゃんと受け取れるようにしようぜ!というのがざっくりしたコンセプトです。

その理念は素晴らしいですし、そうなったらいいなって思うのですが、Web3ソーシャルを使おうと思ったら、やっぱりWeb3ウォレットを接続して使わないといけないという課題があるんですよね。

どういうことかというと、Web3ソーシャルでは、たとえば何か投稿するときにいちいちウォレットを立ち上げて署名したりトランザクションを送ったりしないといけないとか、いいなあっていう投稿に対して投げ銭(コレクト)をしようと思ったら、ウォレットを立ち上げて投げ銭するトークンとガス代を支払って・・・とかが必要になります。

これってふだんWeb2ソーシャルを使っているユーザーからすると、もうめんどくせえよ!搾取されてるかもしれんけど、もうツイッターでいいよ!クレカで投げ銭させろよ!ってなりますよね。

このままでは、Web3ソーシャルにはメリットもたくさんあるのに、使いにくいあまりに結局使われませんでしたーということになってしまいます。ユーザーは利益を搾取されつつも、居心地のいいWeb2ソーシャルにずっと居座るでしょう。

なので、Web2ソーシャル居心地いい民をWeb3ソーシャルに乗り換えてもらおうと思ったら、少なくともこの「ウォレットで何か操作をする」のを楽チンにしなければなりません

ウォレットを操作する上で一番何がめんどくさいかって言われたら、それはやっぱりガスだと思うんです。昨今ではマルチチェーンが当たり前の世の中ですが、新しいチェーンに上陸しようとすると、ガスを準備しないというのはクリプト民ですらめんどくさいことです。それがWeb2ソーシャル居心地いい民なら・・・?たぶん意味不明ですよね。

で、ウォレットで何か操作する上でもっとも煩わしいこの「ガス問題」を解決するのがアカウント抽象化なのです。

アカウント抽象化はめんどくさい「ガス」問題を解決する

アカウント抽象化とは、スマートコントラクトアドレスをユーザーアカウントとして利用できるよというものです。「スマートアカウント」とかっていう言い方もするようです。

もう少しいうと、メタマスクとかで作ったアドレスはEOA(Externally Owned Accout)と呼ばれ、秘密鍵で管理されています。一方スマートコントラクトアドレス(トークンのアドレスとか)は、コードで管理されます。つまりスマートアカウントは、コードで管理されたユーザーアカウントです。

このスマートアカウントでは、ガス代を任意のトークンで支払えるようにする拡張機能「ペイマスター」というのが用意されているので、これによってたとえばUSDCを送金しようと思ったら、USDCの中からガス代を払えたりします。つまりユーザーは「ガス」という概念を気にすることなくdAppsを使えるようになるのです!!

さっきも書いた通り、このガスという概念は、クリプト民ですらめんどくせえなあと思っているところで、ましてや非クリプト民からすれば、ウォレットで何か操作する上でもっとも意味がわからない部分です。

アカウント抽象化は、そのWeb3を触る上で一番意味がわからずめんどくせえ部分をなくし、ハードルをめちゃくちゃ低くしてくれます。

ちなみに、すでにアカウント抽象化が採用されている事例も何個かあります。たとえばargentウォレットはかなり前から独自のアカウント抽象化技術を採用していて、ガストークンがなくてもスワップやステーキングなどができます。使ったことがある人も多いのではないでしょうか。

最近ではRainmakerというウォレットもアカウント抽象化を採用し、ベータ版ですが稼働しています。

アカウント抽象化がWeb3ソーシャルのマスアダプションを促進する鍵になるかもしれない

というわけで繰り返しになりますが、このアカウント抽象化という技術を持ち込むことによって、非クリプト民のみならずクリプト民ですらめんどくせーと思っているガスの問題が解決されます。

Web2ソーシャルからWeb3ソーシャルへの移行を促す上での最大のハードル(と自分は思っている)を超えることができます。すばらしい!

サイバーコネクトV3では、アカウント抽象化を目玉の一つとしてしっかりと実装するようで、ほかにもログイン機能の強化によって、Web2ソーシャルと使い心地が変わらないユーザー体験を促す仕組みを導入したりしてます。

ちなみにLensも最近Lens v2というのを発表していましたが、やはりアカウント抽象化についても言及がされていました。

もちろん、アカウント抽象化さえ導入すればWeb3ソーシャルへの移行が爆発的に進むぜ!とかいうつもりはありませんが、Web3ソーシャルやる上でアカウント抽象化は必須なものだとは思います。

まだ実際にサイバーコネクトV3やLens V2を触れるわけではないので、どんな体験をさせてくれるのかはわかりませんが、きっとより良い体験が待っているでしょう。楽しみにまっています。