Bspeak!

Posted on Dec 06, 2021Read on Mirror.xyz

NFTコミュニティ向けツール『Islands』

TempusのローンチとAMA

先日インタビューしたTempusですが、12月15日にローンチと発表され、それにむけてAMA(ask me anything)の通訳を手伝うことになりました。

最初は動画でディスカッションと思っていたのですが、TempusのDiscordの日本語チャネルでテキストで行います。やったことがないので、DeepLを使って即時翻訳すると想定しています。ぜひ参加してみてください。

事前に質問をした人の中から、抽選でNFT(Tempus Sers NFTs)がもらえるそうなので、事前に質問してみてはいかがでしょうか。

背景を少しかくと、最近は、ETHの安定運用を探している人が増えています。ここでいう安定運用とは、他のトークンとのペアにせず価格変動による損失(インパーマネント・ロス)を避けながら運用する方法です。

そこでLido経由でETH2.0にステーキングしたあとや、AaveでETHを供給したあとに、Tempusで運用したいという需要が出てきています。

そんな需要に対して、複利で運用するために、ガス代の低いL2に対応するか、OptimismやZkSync(場合によってはPolygonなど)に対応するか、など聞いていきたいと思います。

また最近パーミッションレスのレンディングプロトコルについて多く語っていますが、今後はその辺りとも相性が良いので、その観点の質問も面白いかもしれません。

Gitcoinのグラント

Gitcoinのグラントの12ラウンドが始まりました。何かというと、「公共財に資金が回るようにしよう」というプロジェクトで、その試み一つとしてGitcoinグラントという寄付の機会を定期的に開催しています。

仕組みについては過去に書いたものをぜひ読んでいただきたいのですが、簡単にいえば、「寄付人数が多いほど、資金プールの金額がマッチングされて、追加で寄付が受けられる」という仕組みです。寄付された貯まったお金の割当に、民意を反映させようというのがねらいです。

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今回の個人的なおすすめは、「Zk tech」のカテゴリです。

ゼロ知識証明に関連したプロジェクトに$100kのマッチングプールが用意されていて、自分の寄付 + このプール資金の一部が自動でマッチされて(追加されて)、寄付することができます。

重要な分野への貢献ができますし、複数の寄付先を選んでも、まとめてzk syncでバッチ支払いすれば、ガス代もほとんどかからないので、試してみると良いと思います。

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ちなみに、このニュースレターBspeak!も、Round10で参加したのですが、何もせずにそのまま後続のラウンドも参加できるようで、現在も寄付を受け付けています。

💰 Bspeak! | Grants | Gitcoin

それでは今週も楽しんでいきましょう。

■ Last Week in Crypto

1.XY Finance Raises $12M to Revolutionize Cross-chain Blockchain Ecosystem

クロスチェーンのアグリゲーター XY Finance が、$12Mを調達しました。

投資家には、Circle、Infinity Ventures Crypto、Mechanism Capital、Morningstar Ventures、YGG、Animoca Brands、MEXC Global、TRON Foundation、gCC、Lemniscap、Evernew Capital、PANONY、Axia8、Looksrare.vc、などが参加しています。

上で書いたようにXY Financeは、クロスチェーンのスワップのアグリゲータです。

例えば Ethereum上のETH → Polygon上のDAI にしたいとき、以下のように最適なルートを計算して実行してくれます。

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この時、SushiやDODOなどDEXや、AnyswapやYプール(XY financeのブリッジのためのプール)などのブリッジを比較して、どれが最適かを掲示しています。

これでユーザの手間と手数料を節約して、簡単に移動できることを目指します。

トークンセール

12月9日にIDOを予定していて、XYトークンが導入されます。この前のTempusがやったのと同様に、Copper上でLBPを実施するそうです。

LBPとは、時間とともにウエイトが変化していき(よって価格が下がっていき)、その期間中の買い注文によって相殺されながら価格発見をしていく方法です。最近はCopperというプラットフォームでLBPを実施するところが増えています。

2.Web3 Startup Islands Launches With $3.5 Million To Help Creators Build Their Own NFT Communities

元Forbes Under 30の2人が創業した Islands が正式にスタートしました。Redditの共同設立者であるアレクシス・オハニアンの出資をうけたことも明らかになっています。

前のBspeak!で書いたように、彼はソーシャル系のプロジェクトに絞って$100M規模のファンドを発表していて、今後このようなプロジェクトに注力していくのだと思います。

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Islandsの概要としては、ホームページにある動画で説明されていますが、クリエイター向けのソーシャルプラットフォームです。NFTを保有したり、コミュニティにNFTをドロップしたり、ファンとコミュニケーションしたり、クリエーター向けのツールがあったり、というソーシャルメディア的なプロダクトの予定です。現在はウエイトリスト登録することができます。

3.Solice Raises $4.36M to Build the First Cross-Platform VR Metaverse on Solana

Solana上のメタバースVRプラットフォームSoliceは、$4.36Mの資金調達を発表しました。Three Arrow Capital、Animoca Brands、DeFiance Capitalがリードとなっています。

他の投資家は、Alameda Research、Solanium Ventures、Jump Capital、CMS Holdings、Rarestone Capital、DWeb3 Capitalなどが参加しています。

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Soliceは、3Dの仮想世界で、ユーザが何か作ったり交流して収益化することができるSolana上のメタバースです。

このゲームには通貨やNFTが登場し、DeFiの要素も加わります。例えば土地所有者は、土地をステーキングして利回りを得ることができますが、ステーキングしている間は、レアなNFT(戦利品アイテム)を得られる可能性があります。そしてクエストをクリアすると、取得したNFTを唯一無二のものにアップグレードすることができるそうです。

VRの開発は、BaiduやAlibabaなどの企業を担当したことのある既存のスタジオが担当します。

そして12月には、トークンがIDOのローンチパッドで配布される予定になっていて、2022年Q1にはプロダクトのローンチを予定しています。

4.A16z Leads $28M Round for Privacy Coin Iron Fish

プライバシー重視のブロックチェーン「Iron Fish」が、a16zがリードで$27.7Mドルを調達しました。

このラウンドには、セコイア、Electric Capital、MetaStable、Arrington XRP、Terraの共同創業者であるDo Kwon、ThesisのCEOであるMatt Luongo、Anchorageの共同創業者であるNathan McCauleyなども参加しています。

Iron Fishは、ゼロ知識証明を使って、トランザクションを非公開にできるプライバシーに特化したブロックチェーンです。zk-SNARKベースのSaplingプロトコルにインスパイアされていて、ユーザーは情報を明かさない(完全シールドされた)トランザクションを送信することができます。

現金と同じようなプライバシーの性質をもち、普段使いできるように開発されていて、ちょうど先週からインセンティブ付きのテストネットのプログラムを開始しています。

より効果を発揮するのは、将来マルチアセットに対応したときだと思います。

近々、マルチアセット / クロスチェーンブリッジも対応するため、他のチェーンとIron Fishをつなぐことで、ユーザーは他のブロックチェーンからIron Fishにトークンを移して、どのようなトランザクションでも非公開にすることができるようになります。

なのでIron Fishは、「ブロックチェーンのためのSSLレイヤー」を作っていると主張しています。

a16zのブログでは

「多くのWeb3チームが、開発者向けのプライバシーツールを構築していますが、日常的に利用できるメインストリーム向けのソリューションも必要とされています。だからこそ、ゼロ知識証明を使用してユーザーフレンドリーなプライバシー暗号通貨を作るIron Fishに投資をしました」

としています。

ちなみにIron Fishについては4月に少し触れているのですが、「Iron Fish」という名前は、第二次世界大戦中にアメリカのナバホ族の暗号通信兵が使ったコードネームに由来していて、「潜水艦」を意味するそうです。

5.AAG Ventures Raises $12.5M to Launch New ‘Learn-to-Earn’ Platform

Play-to-Earnゲーム企業のAAG Ventures(AAGV)は、12.5Mを調達しました。

Shima Capital、Tribe Capital、Tess Venturesがリードで、HashKey CapitalやPolygonのSandeep Nailwal氏などが参加しています。ゲーム関連からは、Vulcan ForgedやSipherなどが参加しました。

ゲームギルドについては、先週Avocadoのところで触れたとおりです。

AAGVもその1つですが、今後、他のギルドが大規模にプレイヤーを獲得できるよう支援するプラットフォームや、プレイヤーが数学やプログラミングなどのスキルを学びながらトークンを獲得できるLearn-to-earnプラットフォームの立ち上げを予定しています。両方ともベータ版を2022年前半に立ち上げる予定です。

AAGVは、「他のギルドと競争するのではなく、他のギルドと協力して支援することが最良の方法だ」と考え、5-10年後には多くのプレーヤーを抱えるギルドが数多く存在する未来を予想していて、それを実現するソフトウェアを開発するというわけです。

ちなみにこちらもCopper上のLBPで、12月12日にトークンセールを実施する予定になっています。

6.Kimbal Musk’s Big Green DAO Is a Big Step for Web 3

イーロン・マスク氏の弟であるキンバル・マスク氏は、食に関連する慈善団体「Big Green DAO」の会員募集を開始すると発表しました。

調べてみると現在Big Greenは、​​学校や家庭が、自分たちの食べ物を育てることを支援しています。具体的には、研修や、助成金、ガーデンベッドの寄付、ガーデンプログラムを作成・支援するための材料を直接提供、などを実施しています。

今回DAOにすることで、助成金の制度を再構築する予定になっています。助成金の分配はDAOメンバーに委ねられ、投票については、Snapshotに独自の改良を加えるそうです。

DAOベースのチャリティ

このようなDAOでのチャリティが良いのは、「中間業者を排除できる」だけでなく、慈善団体を作った人の影響を少なくして分散化することができる点です。著名人の寄付によくある、エゴの部分を少なくすることができます。

その上で透明性をもって直接の資金提供ができることを、Big Green DAOは目指しています。

アーキテクチャ

ペーパーをざっと読むと、UniswapやDecentralandなどの投票プロセスを調べて比べていることがわかります。結果として、委員会(committee)や投票コミュニティなどの複数レイヤーの構造となっています。

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Big Green DAOの図(ライトペーパー)

予定

Big Green DAOの最初の予定として、1年かけて$1Mドル以上の資金を分配する予定になっています。その後、DAOによってうまくいったかを評価します。実験ではありますが、もしDAOが失敗しても改良を続けると、共同創設者は記事では話しています。

7.Structure Raises $20M to Make DeFi Mainstream- and Mobile-Friendly

トレーディングプラットフォームのStructureは、$20Mドルの資金を調達しました。

Polychain Capitalがリードで、StructureのSTXRトークンによる調達になっています。

Structureはモバイルアプリを開発していて、メインストリームの人たちのDeFiの入り口になることを目指します。2022年は、このようなフィンテックとDeFiの融合が多くなる年になるかもしれません。

ちなみにリリースによると、ユーザーがトークン化された株式やETF、オプション、暗号通貨に、手数料なしで投資できるようにするそうです。また貸し借りなどができるようになります。

今後は、2022年初頭にアプリを招待制で提供し、数カ月以内に広く紹介することを計画しています。適用される規制を遵守するために、このアプリは当初、米国以外のユーザに提供される予定です。

8.Blockchain auditing firm CertiK raises another $80M in Series B2 funding

スマートコントラクトの監査会社であるCertiKは、シリーズBで80Mドルを調達しました。

Sequoia Capitalがこのラウンドをリードし、Tiger Global、Coatue Management、GL Venturesなどの既存の投資家も参加しています。

最近はコントラクト監査の需要が高く、「申し込んでも数ヶ月待ち」の状態がかれこれ1,2年続いています。

これはDeFiのハッキングなどが増えているため、監査を必須にすることが常識になってきたからと言えます。複数の監査企業に加えて、監査を個人でやってる1-2人にお願いするところも多くなってきています。

CertiKは、現在までに1800以上の顧客に対して、31000以上の脆弱性を検出し、3100億ドル相当の資産を守ったとしているそうです(例Aave、Polygon、Terraなど)。

CertiKはまた、Skynetと呼ばれるトランザクション・モニタリングのプラットフォームを運営しています。このプラットフォームは、フラッシュローン攻撃などの不審なオンチェーン活動を検出し、ダッシュボード上で警告します。これらの製品が昨年から利益を上げています。

9.Solana-based derivatives network Hxro raises $34 million in token round

Solanaベースのデリバティブ取引プラットフォームを構築しているHxro(ヒーローと読むそうです)が$34Mドルを調達しました。

SIG DT Investments、Jump Crypto、Blockchain Capitalがリードし、Alameda Research、Solana Ventures、Coinbase Ventures、Commonwealth Asset Management、Chicago Trading Companyなどが参加しました。

このプロジェクトは、先物やオプションなど、分散型のデリバティブ取引プラットフォームを構築しています。

Serumのオーダーブックと、オラクルとしてPythを組み合わせて、市場(交換ペア)を生成することができて、ネットワークに参加している人なら誰でも作ることができるようになるそうです。

最初のバージョン(v1)は、先物、オプション、無期限先物などが利用でき、来月にSolanaでローンチ予定です。

Hxroのネットワーク内で発生する取引手数料が、ステークしているHXROトークン保有者、ノード運用者、トレジャリー、開発者プールに分配されるというモデルになっています。


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#206 Bspeak! 2021年11月29日号 メタバース土地NFTの取引

#205 Bspeak! 2021年11月22日号 Siloインタビュー / 分散型ソーシャルグラフCyberConnect

#204 Bspeak! 2021年11月15日号 Tempusインタビュー

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